少しでも後悔したら即クーリング・オフ|蓄電池訪問販売の期限・手順・例文
法定書面を受け取った日を含めて8日以内の方は、今すぐクーリング・オフの手続きをしてください。期限は今日までかもしれません。書面を受け取った日が分からない、期限内か判断できないという場合は、消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センター等につながります)にすぐ相談してください。
訪問販売で契約した蓄電池は、正しく記載された法定書面を受け取った日を含めて8日以内であれば、特定商取引法に基づくクーリング・オフ(無条件での契約解除)ができるとされています。損害賠償や違約金を支払う必要はなく、工事が済んでいても無償での原状回復を請求できるとされています。ローン(クレジット契約)を組んで契約した場合は、販売会社だけでなくクレジット会社への通知も必要とされる場合があります。この記事では、期限の数え方、通知の手順、そのまま使える通知文の例文を解説します。
クーリング・オフできる条件
自宅に来た営業から契約した場合など、訪問販売にあたる方法で契約した蓄電池は、クーリング・オフの対象です。一方、自分から店舗に出向いて購入した場合や通信販売は対象外とされています。
クーリング・オフが成立すると契約は解除され、損害賠償や違約金の支払いは不要とされています。
期限の数え方(起算日)
期限は、正しく記載された法定書面(申込書面または契約書面のうち早く受け取ったほう)を受け取った日を含めて8日間です。契約した日や工事の日ではなく、書面を受け取った日から数えます。たとえば6月1日に書面を受け取った場合、6月8日が期限です。
8日間は「書面を受け取った日」から数える
訪問販売のクーリング・オフは、法定書面を受け取った日を1日目として進めます。
- 1日目 申込書面または契約書面を受け取った日を確認します。
- 8日目まで 契約先へ解除の通知を発信します。ローン会社があればそちらにも通知します。
- 送信直後 通知の両面、送信画面、受付記録、郵便の受領証を保存します。
- 不明点がある 工事や支払いを進める前に、消費者ホットライン188へ相談します。
書面が交付されていない、記載に不備がある、クーリング・オフを妨げられた場合は扱いが変わることがあります。期限を自己判断せず188へ相談してください。
書面を受け取っていない場合や記載に不備がある場合は、「正しく記載された書面を受け取った」とはいえず、期間は進行しないとされています。つまり、8日を過ぎているように見えてもクーリング・オフできる可能性があります(詳しくは「期限を過ぎてしまった場合」へ)。
手順:はがきで通知する
クーリング・オフの通知は、書面または電磁的記録で行います。記録を残しやすいのは、はがきなどの書面で通知する方法です。
1. はがきに必要事項を書く
- 契約年月日
- 契約者名
- 購入した商品名(工事名)
- 契約金額
- 契約を解除するという意思表示
- 通知を発した日
2. 投函前に両面をコピーして保存する
はがきは送る前に両面をコピーし、手元に保存してください。後日、消費生活センターに相談するときや事業者とやり取りするときの資料になります。
3. 特定記録郵便・書留などで送る
送付の記録が残る特定記録郵便・簡易書留・内容証明郵便などでの送付が推奨されています。宛先は契約書面に記載された販売会社の住所です。
通知は、期間内に発信すれば有効とされています(発信した時に効力が生じるため、8日目当日の発信でも間に合います)。
メール・専用フォーム・FAXでも通知できる
2022年6月1日からは電磁的記録によるクーリング・オフも可能になりました。電子メール、事業者サイトのクーリング・オフ専用フォーム、FAX、USBメモリ等の記録媒体でも通知できるとされています。記載する内容は、はがきの場合と同じです。メールで通知した場合は送信メールを保存し、フォームの場合は送信画面のスクリーンショットを保存してください。
通知文の例文(はがきの文面)
例文
契約解除通知書
次の契約を解除します。
契約年月日 2026年6月8日
商品名 家庭用蓄電池システム一式(設置工事を含む)
契約金額 1,650,000円
販売会社 株式会社○○○○ △△営業所 担当者 □□□□通知を発した日 2026年6月12日
契約者住所 ○○県○○市○○町0-0-0
契約者氏名 ○○ ○○
契約年月日・商品名・契約金額・販売会社名は、手元の契約書面の記載どおりに書き写してください。
ローンを組んだ場合:クレジット会社にも通知が必要
販売会社に通知するだけでは、手続きが終わらない場合があります。ローン(個別クレジット契約)を利用して契約した場合は、クレジット会社に対してもクーリング・オフの通知を行うとされています。
個別クレジット契約は、蓄電池の販売契約とは別の契約です。割賦販売法に基づき、クレジット契約そのものをクーリング・オフでき、クレジット契約をクーリング・オフすると販売契約も解除されたものとみなされるとされています。
実務上は、販売会社とクレジット会社の双方に同時に通知するとされています。クレジット会社宛にも同じ要領ではがき等で通知し、投函前に両面をコピーして保存してください。クレジット会社の名称と住所は、クレジット契約書面に記載されています。
工事が終わっていてもクーリング・オフできる
すでに設置工事が済んでいたり、蓄電池を使い始めていたりしても、期間内であればクーリング・オフでき、その対価を支払う必要はないとされています。工事によって壁や配線など住まいの現状が変更されている場合は、無償での原状回復(元の状態に戻す工事)を事業者に請求できるとされています。「もう工事が済んでいるから解約できない」と言われても、それだけで諦める必要はありません。
期限を過ぎてしまった場合
8日を過ぎていても、書面の不備で期間が進行していない可能性や、「クーリング・オフはできない」と事実と異なる説明を受けたなどの事情により、期限後でもクーリング・オフできる場合があります。期限後に検討できることは、蓄電池の訪問販売を契約後に解約したいで解説しています。
契約前の方へ:「いつでもクーリング・オフできます」に頼らない
営業の場面では、「クーリング・オフがあるからいつでもやめられますよ」という言葉が、その場で契約させるための安心材料として使われることがあります。しかし、ここまで見てきたとおり、実際の手続きは決して簡単ではありません。期限は書面を受け取った日を含めて8日間しかなく、はがきの作成・両面コピー・記録が残る方法での送付、ローン併用ならクレジット会社への通知まで、すべて自分で行う必要があります。
また、営業担当者がクーリング・オフの具体的な手続きまで説明してくれるとは限りません。手続きに必要な記載は法定書面(契約書面)にあるので、契約書を自分で読んで確認する必要があります。
少しでも心配なら、契約する前にクーリング・オフの手続きを確認しておいてください。そして、そもそもクーリング・オフが必要になる状況を避けるのがいちばんです。その場で契約せず、いったん持ち帰って検討することをおすすめします。こうした営業トークの他の例は、蓄電池の訪問販売でよくある手口にまとめています。
私自身、「クーリング・オフがあるからいつでもやめられますよ」と言われたことが何度もあります。ただ、手続きの手間を知っていたので、その場ではサインしませんでした。いちばん確実だったのは、やめ方を覚えることではなく、その場で契約しないことでした。
運営者について困ったときの相談先
手続きに迷ったら、消費者ホットライン188に電話してください。最寄りの消費生活センター等につながる全国共通番号です。契約書面・見積書・はがきの両面コピー・送信メールなどを手元に揃えておくと、相談がスムーズに進みます。
解約したあとに残る問い
クーリング・オフは「この契約をやめる」手続きであって、「蓄電池は要らない」という結論ではありません。断ったあとに残るのは、自分の家では結局いつ買うと割に合うのか、という問いです。太陽光を載せている家なら、その判断でいちばん確かな手がかりは固定価格買取(FIT)の終了時期になります。終了日は売電を始めた時点ですでに決まっていて、営業に教えてもらわなくても売電明細や電力会社の書類で自分で確認できます。手順は卒FIT営業で確認すべきことにまとめています。
もうひとつ要るのが、自分の家の実際の数字です。営業の試算は「先月の電気代」1か月ぶんから組み立てられることが多いのですが、同じ家でも月によって金額はかなり動きます。私の家の検針票は我が家の電気代(検針票をそのまま公開)に24か月ぶん並べてあります。見せられた試算がどこまで自分の家に当てはまるのか、比べる土台に使ってください。